ちまたの「通変星占い」ではない。本来の「通変」のお話をしていきます。
「比肩・劫財」を区別しないで「比劫」とか「自星」と呼びます。日干と同じ五行のことです。
例えば、日干が「乙木」であれば、同じ木星である「乙木」が比肩、「甲木」が劫財と、ちまたの四柱推命では呼ばれています。

ただし「劫財」と書くと、それだけで何か「凶」の印象がありますよね?
しかし、日干が乙木(陰干)で身弱の時には「比肩の乙木」が多くあっても全く役には立ちません。身弱の日干を助ける作用はしてくれません。かえって有害な作用をします。弱い乙木を助け強めてくれるのは甲木の「劫財」だけです。
すでにこの時点で、比肩=吉、劫財=凶というセオリーは崩壊しているのです。ゆえに「比肩」と「劫財」を呼び分けて区別する必要はありません。かえって「比肩」は吉で「劫財」は凶というような「文字面の印象」に惑わされるだけです。
日干と「同じ五行」はとりあえず「比劫」「自星」と纏めておけばよいのです。
どの通変にもそれ自体にあらかじめ固定した吉凶はありません。
その通変が良い作用(吉)をするのか、悪い作用をするのかは、日干の旺衰(身旺・身弱)によって相対的に変わります。
「比劫」(自星)が良い作用をすれば・・
「比劫」(自星)が良く働く=用神や喜神として作用するのは、日干が「身弱」の時だけです。
弱い日干をサポートして強め助ける作用となるためです。
具体的にはどんな「良い働き」をするのでしょうか?
困難に挫けないで自助努力して踏み止まって頑張り続ける気力を与えます。 |
1つのことを続けて最後まで完遂させるだけの持続性となります。 |
自分が生きていくための生活基盤を培うことができます。 (私はこれが得意という基盤や自分の専門性が明確に定まりやすいでしょう) |
自助努力して頑張っていこうという健全な自立心が芽生えます。 |
「天干の比劫」は、兄弟姉妹、家族・身内、同性の友人、同僚などの助けを意味します。 |
人生の目的や目標が定まって、やる気をもって努力していこうという覇気が芽生えます。 |
周囲や他人に気兼ねして自己主張できず疲弊していた人は、必要な自己主張をして 良い意味で自分を通すことができるだけの強さを獲得します。 |
身弱で「悪神の財星」が多い命式(=身弱多財)に、大運で強い「比劫」が来れば 金銭収支(赤字や借金)が改善したり、悪い女性の苦労から解放される等の効果があります。 |
身弱で「悪神の官殺」が多い命式(=身弱多官)に、大運で強い「比劫」が来れば 劣悪な労働環境から解放されて、専門スキルによって独立する等の効果があります。 また悪い男性(暴夫)の苦労から解放される等の効果があります。 |

日干が「身弱」の場合、最も喜ばしいのは(優先度が高いのは)まず地支に「根を張れる」ことです。
「根となる地支」が1つでもあれば、自分で必要な努力をして自己改善していこうという「健全な意識」が働きます。「自助努力」を促す地支です。
「比劫」(自星)が悪い作用をすれば・・
もし日干が「身旺」であれば強すぎる日干をさらに強めてしまう「比劫」は凶作用に変わります。
具体的にはどんな悪い作用になるのでしょうか?
度を過ぎて比劫が多い身旺は、自分のことしか考えられない自己中心人間です。 自我が強く、我儘、エゴイスト、自己都合でしか動かない、自己主張しかしない。 自分の利益のためには、他人や弱者を踏みつけにして迷惑を掛けることもあります。 |
比劫は身内(家族や親族)を示す星でもあるため、何事をするにも身内優先です。 悪い意味で、身内で固まって身内にばかり便宜を図る傾向が顕著になります。 あるいは、自分と似たような素行の悪い悪友を集めて徒党を組んだりします。 |
自分の考えや意見や願望に非常に強く拘ります。頑固でかつ強欲になります。 ワンマンでスタンドプレーが目立つため組織勤めには不向きになります。 |
自我の強さ、押し出しの強さが災いして、かえって恋愛縁が遠くなりやすく 男性も女性も良い縁談ほど纏まりにくくなり、破談となりやすくなります。 |
身旺に関わらず、命式に食傷も財星も無い場合は、欲心は強くてもお金は得られません。 |
天干に比劫が乱立して、もともと少ない財星を剋し合うような命式は 「比劫争財」と言って、身内で骨肉の相続争いを繰り広げたりします。 |
このように「通変」にもともと固定した吉凶はなく、日干の強弱、命式の属する季節との関係によって「同じ通変」であっても、ある命式では「吉」(用神)となるが、別の命式では「凶」(悪神)になるという判断の違いが生まれます。