四柱推命において、命式を分析するために必要な基礎知識をまず覚えましょう。
生まれた年月日時から割り出される「4つの干支」が原命式ですが、その1つ1つの文字が「五行」を示しています。
1つ1つの文字がどの五行なのか?がパッと見て分からなければ、そもそも鑑定師は務まりません。
例えば、下のような原命式があるとして、それぞれの文字はどの五行なのでしょうか?
戊 壬 庚 辛・・・天干
申 寅 寅 丑・・・地支
今回の記事では、下の段(地支)にある「申・寅・丑」について、どの五行か分かるようになることが目標です。
最終的には、上のような干支の並びをパッと見ただけで、各文字に色がついて見える=それぞれの五行が何であるのか調べなくても分かる、ぐらいになって下さい。
十二支 と 五行
「地支」とは私たちがよく知っているあの「十二支」のことです。
十二支は、年賀状の動物ではなく、本来は「季節の変化」=「月」を示した文字です。
植物の種子が発芽して、枝葉が成長し、結実して、枯死して、種子を残すという1年の生育サイクルを表しているのが、オリジナルの十二支の意味なのです。
12ヶ月それぞれに「十二支」が割り当てられています。
3月ならば卯月、6月ならば午月、8月ならば申月、12月ならば子月です。
十二支について、一般的には年賀状の関係で「年」に関するものと思いがちですが、四柱推命を学ぶ人にとって、十二支は「月」や「時刻」を示すものというイメージが強くなります。

それぞれの季節に属する十二支には、どの五行を管轄するのかという割り当てがあります。
↑の表は丸暗記してもいいぐらいに重要です。
春に属する寅卯=「木」
夏に属する巳午=「火」
秋に属する申酉=「金」
冬に属する亥子=「水」
これら8つの十二支は、1つの五行だけに特化しています。(専旺の支と言います)
↓の図をよく見て、十二支と季節・方位・五行・12ヶ月との関係をしっかり理解して下さい。
これは基礎中の基礎です。地支論が正しく分かっていないと四柱推命の習得は難しいと思って下さい。

季節の変わり目に配置されている「辰・未・戌・丑」の4つの支は「雑気の支」と言って、内部に「複数の五行」を含んでいます。
「雑気の支」は、別名「土用」と呼ばれる「土性の支」です。
「雑気の支」には「3つの五行」が混ざって存在しています。(詳しくは蔵干論の記事をお読みください)

土性の支なのでベースにはみんな「土」が入っているのですが、それ以外にも「2つ以上の五行」が混ざっているので、性質がハッキリしません。

未については火と土が最有力なので、純粋に夏の巳・午と同様に見ても構いません。
また、丑月は最も寒冷な月で「水」を含んだ凍土であるため、冬の亥・子に従属する支と見ても構いません。

なので、「未」は火土の味方である夏の地支、「丑」は水金の味方になりやすい冬の地支、と大まかにカテゴライズができます。この2つの支は、わりと五行の方向性がハッキリしています。

問題は、残りの辰と戌です。辰・戌は、暑いのか寒いのかさえ不明瞭でハッキリしない支です。
辰月(4月)と戌月(10月)は、四柱推命の世界では「無季節の月」(雑気の月)と見ます。
月支(辰・戌)だけでは、五行の方向性がハッキリしないので、命式のほかの地支との関係性や命式全体とのバランスによって、何が最も強い五行なのかが大きく変動します。
ですので、辰月や戌月生まれの方の鑑定は、他の月に生まれている方よりも判断が難しいです。

辰と戌で明確な違いがあるとすると、辰は水気を含んだ湿土であるのに対して、戌は火気を含んだ乾いた燥土であるということです。
4つの土性の支には、水を含むかどうかで燥湿の区別があります。
丑と辰は水気を含んだ柔らかい湿土です。
未と戌は火気を含んだ乾燥した土です。
いちおう今日の記事では、丑・辰・未・戌という4つの「雑気の支」は含まれる五行が複雑で性質的にややこしい、ということだけ理解して頂ければよいです。
地支の1つ1つの性質については、蔵干論というカテゴリーで詳しく書いています。

この記事では、十二支=命式の地支が「どういう五行の支なのか」が分かるようになって下さい。
上の命式だと、申=金、寅=木、丑=雑気の支=水・金・土の3つを含む、ということが分かれば十分です。