「用神」と「喜神」の違い、分かりますか?-良い五行・悪い五行-

当たらない四柱推命の検証

ちまたの四柱推命でも、例の「元命星・通変星・十二運占い」ではないタイプの「五行のバランス」を重視する型の四柱推命も最近では増えてきました。書店の四柱推命本コーナーに置いてある本の20~30%がこのタイプのものでしょうか。

これらの市販本のうち20~30%は「五行バランス理論」に立っている四柱推命でしょう。

このタイプの四柱推命が「元命星・通変星占い」と異なる点は、きちんと「命式全体の五行の力量バランス」を判断して、日干が「身旺」か「身弱」かによって「通変の吉凶」を変えている点でしょう。

少なくとも、このタイプの四柱推命になれば、10個の通変星うんぬん(劫財や傷官が凶で、正官と印綬が吉という判断)することはもはやありません。そういう意味ではこの段階の四柱推命になれば、ちまたの「元命星・通変星占い」よりはずいぶんマシにはなります。

(以前の記事で「ちまたの通変星・元命星占い」は「カエルの肉」を売っていると評しましたが、この手の「五行バランス論」に立っている四柱推命は「アヒルの肉」「うずらの肉」に相当するものです。同じ鳥類でかなり「鶏肉」に近づいてはいます)

「五行バランス論」に立つ四柱推命の落とし穴

しかし、問題が無いわけではありません。その「用神の考え方」が実はけっこう大雑把なのです。

ちまたの「五行バランス論に立つ四柱推命」では、命式にとっての「良い五行」と「悪い五行」を次のように考えます。

日干が「身弱」であれば 比劫、印星 が「良い五行

日干が「身旺」であれば 食傷、財星、官殺 が「良い五行」になり

日干が「身弱」であれば 食傷、財星、官殺「悪い五行」
日干が「身旺」であれば 比劫、印星「悪い五行」になる、と考えます。

この考え方の背後にあるのは「扶抑ふよく用神法」(バランス均衡論)です。

強すぎる日干は弱める弱い日干は強め助ける」というシンプルなバランス理論が「扶抑用神法」です。このコンセプト自体は間違ってはいません。基本的にはその通りです。

しかし、実際はこの「扶抑用神論」を機械的に当てはめるだけでは、本当の意味で「正しい用神」の選定にはならないのです。

もっと突っ込んで言うと、厳密には「用神」ではないもの(用神としては機能しないもの)を「用神」と判断してしまって「誤占をしてしまう可能性」が多々ありますよ、ということです。

例えば、日干が「身旺」の場合に、単純な扶抑法では「食傷・財・官殺」の3つの五行が「良い五行」(強すぎる日干のエネルギーのバランスを取ってくれる扶抑用神)だと判断されがちなのですが、実際にはそうではありません。

3つの内で正しく「用神」として使えるのは1つの五行だけです。残り1つは「喜神」でしかなく、たいてい残る1つは「悪神」です。

身旺の命式で、食傷・財・官殺の「3つ全部」が吉作用となることは基本的にありません「食傷」が用神であれば「官殺」は悪神になり、「官殺」が用神であれば「食傷」は悪神になります。実際は3つのうち1つか2つぐらいしか使えません)

ですから、正確さを期すのであれば「食傷・財・官殺」「3つの五行」のどこかに真の用神」が存在する可能性がありますよと言うべきなのです。

ちまたの四柱推命には「身旺」のほうが「良い五行」が3つもあって多いから、身弱よりもラッキーで良い運が巡りやすいですといった妄言を謳っているサイトもありますが、それは間違いです。

「用神」と「喜神」は異なります

ちまたで流通している「五行バランス論に立っている四柱推命」の大半は、「命式のバランス」を取るために「良い五行」というすごく大雑把な括り「3つ」(食傷・財・官)「2つ」(比劫・印)の五行をグループとして捉えています。

日干を強める五行(比劫・印)と日干を弱める五行(食傷・財・官)に大雑把にグループ分けして、どちらが良いかという議論をするわけです。

ちまたの「五行バランス理論」に依拠する型の四柱推命では、通変を2つのグループ(比劫・印、食傷・財・官)に分けて、どちらかが「良い五行」だと大雑把に判断しています。これでは判断基準としては粗すぎて実占では使えません。

しかし、実際にはそうやって候補として挙げられた2~3つある五行のうちで、真に「用神ようじん」となる五行喜神きしん」にしかならない五行、むしろ悪神あくしん」として作用する五行厳密に仕分ける必要があります。

「用神」と「喜神」はどのように異なるのでしょうか?

「用神」は、命式を歪めている元凶=「忌神いむがみ」の働きを中和して、その毒性を抜くという根治機能を発揮する五行(十干)です。「用神」は無条件に命式を改善する吉作用をしてくれます。

※「忌神」=命式において最も力量が強く「歪みと偏り」をもたらしている中心的な悪神。いわばキングオブ悪神。「月支」の季節を示している五行が「忌神」となるケースが多い。

しかし「喜神」は「条件付での吉作用」しか持たない五行です。さらに「思わぬ副作用」を発揮する危険性も孕んでいます。

「喜神」が良い働きをするのは、すでに「用神」が存在し機能している場合だけです。「用神」の作用を前提として、用神と「協働する」ことではじめて良い作用となるのが「喜神」です。

「用神」がどこにも存在していないのに「喜神」だけがあればどうなるでしょうか?かえって予期せぬ暴走を招くリスクがある(=場合によっては悪神に近くなるケースもある)と見るべきなのです。

ちまたの四柱推命の大半は「用神」と「喜神きしん」の区別をまったく意識していません。

日干が「身弱」の命式だと、良い五行は「比劫・印星」の2つだと言われますが、実際には1つだけが「用神」であって、もう片方は「喜神」でしかないケースが多くあります。用神が無いところに喜神だけがあっても本当の運勢改善効果はありません。

病の原因となっている忌神を処置して、その毒性を中和することができるものこそが「真の用神」です

命式を傾けている「忌神いむがみに由来する「傾き・歪み・癖・毒性」に対して、正しく矯正を掛けて中和し、日干と命式全体を「あるべき正常な働き」へ回復する作用をもつものだけが「用神」です。

「喜神」には「忌神の毒性・歪み」を中和して制化するような根治作用がありません

例えば、毒キノコを食べて中毒症状が出ている患者を治療する際に、弱っている体力を一時的に回復させる「強壮薬」と、中毒の原因である毒を分解する「中和薬」という「2種類の薬」があったとします。

もし「毒の中和薬」を用いず、前者の「強壮剤」だけをガンガン使用すればどうなるでしょうか?

中毒症状の原因となっている毒は中和されておらず、いまだ体内に残留して巡り続けているわけですから、いずれ時間が経てばさらに別な症状さらなる悪化(劇症化)をもたらす可能性があります。

強壮剤は「万能薬」ではありません

「用神」が皆無なのに「喜神」ばかりが多い命式は、どこかで運命の崩落・脱線事故(勘違いの暴走等)を起こしやすい危険性・副作用を抱えていると見て、むしろ「注意を促す必要」があります。

「用神」には「使うべき順序」があります

複数の五行が「用神」や「喜神」となる場合は必ず「使うべき順序」があります。正しい順序で使っていかなければ「本当の命式改善」には至りません。先にコレを用いてから、後にコレを使っていくという順序があるのです。

命式によっては、必要とされる「用神」が2つ、「喜神」が1つといったように最大で3種類の用神と喜神を順を追って用いなければ、理想とされる満足な状況には到達しない「難しい命式」もあります。

その場合も「Aの用神」を先に使わないと「Bの用神」や「Cの喜神」だけを単体で使った(巡ってきた)ところで何の吉作用(=運勢改善効果)もありません。

また2種類の異なる用神が「同時に必要」となるケースもあります。Aだけ、Bだけが単体で来ても根本的な改善にはならず、AとBを同時に用いなければ明確な開運が望めない場合もあります。

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