四柱推命の特徴として10年刻みの後天運(大運)が分かります。
「大運」はどのような理論で成り立っているのでしょうか?
「大運」の導き方
命式からどのようにして「大運」を導き出すのでしょうか?
大運は「月柱」から導き出されます。
「月柱の干支」を「60干支」の順番に沿ってor遡って並べたものが「大運」です。
簡単な方法としては、万年暦を開いて「月の干支」を眺めてみればいいのです。
下の例だと、1982年(壬戌年)の2月~翌1月までの月の干支が順番にならんでいます。

例えば、7月(丁未)に生まれた人の場合だと、
順運であれば、右から左に向って8,9,10月と順番どおりに月干支を拾っていけばよいのです。
大運の第1運=8月の戊申、第2運=9月の己酉ということになります。
この人の場合は、後天運が示す人生の季節の流れは 秋(申酉)→冬(亥子)→春(寅卯)と 推移していきます。

逆運であれば、左から右に向って6,5,4月と逆順にさかのぼって月干支を拾っていきます。
その場合、大運の第1運=6月の丙午、第2運=5月の乙巳となります。
この人の場合、人生の季節の推移は 夏(午巳)→春(卯寅)→冬(子亥)と 四季が逆向きに流れていくことになります。

全く同じ生年月日に生まれていたとしても、性別の違いによって、大運が今後どちらの季節に巡っていくのかという順・逆の方向性が違ってきます。
順運になるか、逆運になるかは、生まれた年の干支と、性別との組合せによって自動的に決まります。

陽年に生まれた人は、男性ならば順運で、女性ならば逆運になります。
陰年に生まれた人は、男性ならば逆運で、女性ならば順運になります。
男性は陽のもの、女性は陰のもの、年干の陰陽と一致すれば=順行という考え方に由来するのでしょう。
さっきの例を使うと、1982年の壬戌年は「壬」ですから陽干支であることが分かります。
なので、男性ならば順運になり、女性ならば逆運になるのです。

ちなみに、順運か、逆運か、それ自体に「吉凶の区別」はありません。
生年月日(個別の命式)によっては、順運の巡りの方がラッキーになる人もいれば、逆運の巡りの方がラッキーになる人もいます。
「逆運」というと「季節が逆戻り」していくので、自然の摂理に反しているような不思議な気になりますが、鑑定上はまったく気にする必要はありません。
「大運」はどのような理論で設計されているのか?
「大運」とは「生まれた月」を起点として
その直前か直後に向って「1ヶ月」ずつ推移していく干支の並びです。

大運の「1つの干支」は「人生における10年間」を表しています。
ということは、生後の「1ヶ月=30日」をもって、その人生の「10年間の縮図」と見なして鑑定していることになります。
出生後のnヶ月は、その人の人生におけるn×10年の縮図であるという照応関係が、大運の理論的な背景になっているのです。
この考え方によく似た未来予測法が、西洋占星術の世界にもあります。
モダン占星術ではプログレス法(セカンダリー・プログレッション)
古典占星術ではディレクション技法が知られています。

プログレスの1日1年法では、出生1日後の天体配置をもって、その人の1年後の運勢と見なすわけです。ですから生後10日の天体配置は10年後(10才)の様子を表しています。
洋の東西を超えてよく似た思想によって設計されている未来予測技法があることに驚きます。
「立運計算」は なぜ 3 で割るのですか?
大運の区切りになる年齢は、人によって違います。
ある人は3才から大運第1運に入りますが、ある人は9才にならないと大運第1運に入りません。
最初の「大運の第1運」に何歳から入るのか?を示す数が「立運」です。

立運の計算は、誕生日から直前または直後の「節入日」までの日数をカウントして「3」で割ります。

上の例だと、8/16生まれの人は、順運なら「次月の節入日」までを数えます。逆運なら「その当月の節入日」までを数えます。
そして、カウントした日数の22日や8日を「3」で割ります。
22÷3=7余り1 8÷3=2余り2 となりますから、立運はそれぞれ7年、2年となります。
なぜ「節入日」までの日数をカウントするのでしょうか?
なぜ「3で割る」のでしょうか?
3で割った「余り」については どう考えればいいのでしょうか?
これを正しく説明できる占い師は、大運というものの本質をよく分かっています。
「立運」とは「第1運に入るまでの年数」ですが、その長さは「誕生日」から「次月に入るまでの日数」で測られています。
次の月(=節入日)に入るまでの日数は、大運第1運に入るまでの時間の長さを示しています。

節入日までを数えた日数は、人生全体に置き直した時にいったい何年分に相当するのでしょうか?
これを計算するには、人生の1年分に相当するのは「生後の何日」なのか?を割り出して、その数で割ればいいわけです。
「生後1カ月=30日=人生の10年」とみなしているわけですから
30日÷10年で「3日が1年」に相当する縮尺比となります。

ここまで書けばもうお分かりでしょう。
節入日(次の月に入る)までの日数をカウントして、それを3日で割るのは、人生上の何年分に相当するのかを計っているのです。
3で割った余り1や2をどう考えるか?についても明確な答えが分かるでしょう。
3日=1年だとすれば、1日=1/3年=4ヵ月に相当します。
立運計算をして7余り2だとすれば、7年+8ヶ月で「大運第1運」に入ることを意味しています。この「余り2」は意味のない数字ではありません。
立運計算の「余り部分」をどう扱うのかは考え方がいろいろあって、余り2の場合は切り上げをしたり、余り1の場合は切り捨てたりという概算方式をしている人が多いと思います。
もちろん概算方式(簡易化)でも占えないわけではないので全然構わないのですが、より正確に大運の分岐点を算定したいならば、何年+何か月目まで追跡可能であるということです。
立運が7才8ヵ月(7余り2)であれば、大運第2運に入るのは17才8ヵ月、大運第3運に入るのは27才8ヵ月だということになります。この○ヶ月の区切りは一生変わりません。
というのも、大運の1つの干支はきっちり10年間なので、その後の分岐点(○ヶ月)のズレは発生しません。
ただし、大運の影響力(事象変化)が少し前もって早めに出始めることはあります。
毎年の「季節の変化」を考えても分かるように、春と夏の境界線を明確に「この日から!」と厳格に線引きできないのと同じことです。
暦の上で「立夏」が夏の起点と決まっていたとしても、先立って夏ような気温が高い日があるかもしれないし、少し遅れてから夏の体感が来るかもしれません。
季節の変化が少しずつ体感的に移り変わっていくように、大運の推移による変化もある日に突然現れるというよりは、少しずつ体感的に変化が現れ始めます。